|
私は、アンデルセンの作品に対して純粋な愛情を持っています。そして、私は、アンデルセンの他文化に対する知識と、旅行がとても大変で覚悟が必要とされた時代に広範囲にわたって旅をしていた事実に魅かれます。彼のお話の多くは、極東にまで及ぶ他の国々にも及んでいます。『ナイチンゲール』は中国が舞台、『空飛ぶトランク』はトルコにまで飛んでいきます。
アンデルセンは雪をかぶった山やオレンジの木などデンマークに存在しないエキゾチックな風景を描いています。私の夫は、チベット人ですが、アンデルセンの1838年の作品である「幸福の長靴」を初めて読んだ時、このお話に「ダライラマ」の名が出てくることに気が付きました。アンデルセンが、その当時ほとんどの西洋人が訪れたことのない、ヒマラヤ山脈の向こうの神秘的で遥か遠い国であるチベットのことを既に知っていたことに驚かされます。このことは、他の大陸のことを知るのが難しい時代であるにもかかわらず、アンデルセンが北欧以外のことを良く知っていて、深い興味を抱いていたということを表すのです。私は、アンデルセン絵本シリーズの話を頂いたときに「おやゆびひめ」を選びました。私にとって、この本は妖精や花々が出てくる童話の中の童話なのです。
わたしの『おやゆびひめ』によって、子どもたちが、アンデルセンが創り出す魅力的な世界の一員になれる機会を持てればいいなと心より思っています。 |
|